(写真左から)見取り図、笑い飯、天才ピアニスト
「上方漫才大賞」大賞に笑い飯、奨励賞に見取り図、新人賞に天才ピアニスト
オリックス劇場(大阪市西区)で4月13日、「第59回上方漫才大賞」発表会が開かれ、大賞に笑い飯、奨励賞に見取り図、新人賞に天才ピアニストが、それぞれ選ばれた。
笑い飯は2003年(第38回)に新人賞、2010年(第45回)に奨励賞に選ばれ、大賞を受賞するのは2014年(第49回)以来2度目となる。
【大賞 笑い飯】
Q.2014年(第49回)以来、2度目の大賞受賞となりました。今の心境はいかがですか?
哲夫さん:2回獲りたいっていうのは最近の目標でもあったので、率直にすごくうれしいです。マネージャーが全国ツアーの企画を立ててくれて、コロナでなかなかやりにくい時期もあったんですけど、たくさんのお客さんが来てくださって。そんな中、漫才でこれだけ皆さんに笑ってもらって、この流れで【上方漫才大賞】2回目を受賞できたらすごく気持ちいいな、うれしいなって夢見てたので、それが叶った感覚です。
西田幸治さん:1回目は本当に欲しかったので自分たちで動いて獲りに行った感じなんですけど、今回は周りの人たちにいろいろ協力してもらったのが大きいかなと思います。2回、3回獲っている方は本当にすごい先輩方ばかりで、そこに自分が至ってるのかなと思うとちょっと自信がない部分も多いので“今回は慎んでお断りしようか…”ということにこそならなかったんですけど(笑)。中学1年生が今後大きくなるのを考慮して大きめの学生服を着ているみたいな、まだちょっとぶかぶかの感じですね。今からジャストサイズになるように、いろいろ頑張って精進したいなと思います。
Q.お祝いゲストとして、デビュー前から交流の深い千鳥のお2人にお越しいただきましたが、いかがでしたか?
西田さん:千鳥が来てくれたのは本当にうれしかったです。お互い20何年来の知り合いですけど、こういう節目でお祝いしてもらえることが本当にうれしいですね。2組ともここまで続けてこれたんだ、というのが何よりかなと思います。
哲夫さん:僕は千鳥が受賞した2013年、第48回に獲りたいって気持ちがありました。仏教マニアの僕にとっては、翌年2014年になると第49回になってしまって、“49”を慎みたいなと思ったので。でも、結局その大会で受賞させてもらうことになって、ただ純粋にいただけたことはうれしかった。それで、今回59回目という特に縁起が悪くなさそうな数字なんですけど、僕の年齢がちょうど49で…“49”に呪われてるなと思いました。
Q.この10年で漫才に変化はありましたか?
西田さん:基本的には変わってないんですけど、年齢を重ねるとやっぱりどうしても環境とか体調が変わってくるので、それを受け入れてやるしかなくて。もう昔ほどのキレはないと思うんですけど、その分、歳いってきたのにまだこんな幼稚なことをしてる“バカバカしさ”が出てるんじゃかなと思います。
哲夫さん:ツッコミ方とか漫才の進め方に若さがなくなった分、歳を重ねたことで良い落ち着き、良い言葉選び、良い間、その辺は積み重ねてこられたのかなと思います。
Q.3回、4回と大賞を受賞されているレジェンドもいらっしゃいますが、ご自身はいかがですか?
西田さん:後輩で大賞を受賞してもおかしくないなみたいなコンビがいっぱいいるので、その中で3回目を狙いに行くのは考えさせられるところがありますね。いただけるものなら全然いただきますが!
哲夫さん:もし90歳になっても現役でやっていたら、3回目をいただきたいですね。89歳くらいからモーションかけだします!
Q.これから新たに挑戦してみたいことはありますか?
西田さん:ツアーとかいろいろやってきましたが、若いところと一緒にライブをやってみても面白いかなと思いますね。
哲夫さん:博多華丸・大吉さんが地元のドームで大きなイベントをされていましたが、我々は2人とも奈良県出身なので、“なら100年会館”でイベントができたらいいなと思います。
西田さん:営業で何回も行ってますしね。大仏殿でコンサートが開かれたりもしているので、そういう場所でやってみても面白いかなと思います。
【奨励賞 見取り図】
Q.5年連続ノミネートで悲願の奨励賞受賞です。今の心境はいかがですか?
盛山晋太郎さん:ノミネートは、新人賞2回と、奨励賞5回。去年奨励賞を獲れなかった時は、終わってから若手の時くらい審査員さんの楽屋を探し回ってました(笑)。今まで大阪で漫才をさせてもらってきて、賞レースを獲れてなかったことがすごくコンプレックスだったので。喜びもひとしおですね。
リリーさん:初めて賞を獲ったので、漫才師として認められた感がやっぱりうれしいです。ようやく認められたなって、初めての感覚です。
Q.賞金150万円の使い道は?
盛山さん:先日、僭越ながらメルセデス・ベンツを買いまして。野原ひろしくらいローンを組んだので、それにあてたいと思います。
リリーさん:逆に75万円ギリギリで買える車を買おうかな。
盛山さん:ルパンみたいな壊れる車やん!
Q.“三度目の正直”ならぬ“五度目の真実”とおっしゃっていましたが、この1年間はどのように過ごしてこられましたか?
盛山さん:漫才のステージ数はもちろん変わらず劇場に立たせてもらってたんですけど、自分たちでいろいろ分析はするようにしていたんです。これだったら獲れるんじゃないかって。ただ、それがことごとく外れてまして(笑)。去年の単独ツアーとかでも試して、舞台を広く使うネタ作りは意識しました。【上方漫才大賞】は広い会場が多いので、2階席とか3階席にも見えるようなネタがよくて、こじんまりとした漫才があんまり良くないんじゃないかって。あとは、本当に老若男女まんべんなくお客さんがいるので、そこも意識しましたね。
Q.なかなか賞レースを獲れない中でどのような思いを抱いてましたか?
盛山さん:今まで同期や後輩が獲ってきた時はめちゃくちゃテンション落ちて、噛む下唇がないくらい噛み潰しました。市役所とかで職業を書くことがあると思うんですけど、自分の中で漫才師って名乗っていいのかめっちゃ悩んでいた時期もありました。なので、やっと獲れたなと。もちろん大賞を目指してるんですけど、奨励賞でずっとつまずいていたので。何度も人が優勝する背中を見てきて。人が喜んでる姿を後ろから見るのはもう飽きました。
リリーさん:同期が獲った時は泣いてた時もあるので。去年も同期の吉田たちに負けてめっちゃ悔しかったですし。同期には一番ライバル意識があるので、今回で少しは見返せたかなとは思います。負け癖じゃなくて、勝ち癖をつけたいです。
Q.大賞を目指すにあたって今後の目標を教えてください。
盛山さん:もちろん劇場には立ち続けたいんですけど、去年は全国ツアーもやらせていただいたので、いろいろなところで漫才をやりたいですね。結成15年までは『M-1グランプリ』に出られる権利があったんですけど、これからはNGKやルミネでいろんな方に笑っていただけるような漫才をしていきたいです。
リリーさん:もう僕らも若くないので、逆にもっとおっさんになって作る漫才も楽しみです。
【新人賞 天才ピアニスト】
Q.3年連続ノミネートでようやく新人賞を手にしました。今の心境はいかがですか?
竹内知咲さん:漫才とコント両方やってるんですけど、やっぱり漫才で勝ちたくて力を入れてきたので、今回新人賞をいただけてすごくうれしいです。歴史がある賞で、歴代受賞者を見てもあそこに自分たちの名前が入るっていうのはものすごく光栄なことなので、この賞はずっと獲りたかったですね。
ますみさん:ノミネートはされるけど優勝できへんみたいなことになりそうって自分たちの中で薄々感じてたので、ここで獲れたのがうれしかったです。一緒にノミネートされたダブルヒガシさんとか同期のフースーヤとか、今劇場で強い人たちと戦えたこと、その中で一番おもろいみたいになれたこともうれしいです!まだこれからずっと大阪にいるのか、東京に行くのかっていうことは何も考えてないですけど、現段階で大阪にいる自分たちとしては、上方漫才に関わる賞を獲れたのはめちゃくちゃアツいです。絶対獲らんとあかんなと思ってたので!
Q.漫才の魅力はどこにあると思いますか?
竹内さん:道具を一切使わず、マイク1本で2人だけで出ていくというかっこよさ。あとは、マイク1本だからこそなんでもできるっていう自由さ。今日のメンバーを見ても、みんなバラバラのことをやってたと思うんですけど、ほんまに出てきた2人によって全然違うことができるので。衣装も小道具もない分、逆にその自由な部分が良いところだと思います。
ますみさん:自分たち自身、“ますみ”と“竹内”で勝負できること。コントも大好きなジャンルなんですけど、しっかりネタの世界観とキャラクターに入りますし、そうなるともう自分たちの中だけで進められるので。漫才はお客さんの反応とか返り、お客さんと目線を合わせながら生のやり取りをするので。生身で勝負できるのが漫才ですね。
Q.賞金100万円の使い道は?
竹内さん:ほんまに1回カニ食べにいきますか!
ますみさん:カニも牛も置いてる、信じられへんくらい良いレストランがいいです!竜宮城みたいな(笑)。
竹内さん:優勝したら毎回2人で打ち上げするんですけど、いつも焼肉なので今回は本当にそういうところに行ってもいいかもしれません。おいしいもの食べて、また頑張りたいです!
写真提供:カンテレ
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