障害を体験し気づく「普通」の難しさ
リリース発行企業:医療法人医誠会
医療法人医誠会(本社:大阪市北区、代表者:谷幸治)は、10月26日(日)に開催された天満音楽祭の会場・扇町ミュージアムキューブにて、障害体験イベント「ともに感じ、ともに考える」を実施しました。本イベントは、医誠会の職員教育プログラム「キャリア10」におけるリベラルアーツの一環として、職員が自ら企画・運営したものです。参加者は、足が伸びない・曲がらない状態を疑似的に体験する「ニーブレース」体験や、体力年齢を測定する「ロコモチェック」を通じて、障がい者視点から日常の不自由さや支援の在り方を学びました。
体験を通じて見つめ直す「歩く」という行為の価値
医療法人医誠会では、職員のキャリア形成の一環として「キャリア10」という人材育成プログラムを導入しています。
これは、入職から10年間を見越した体系的なキャリア形成プログラムであり、毎月1回のディスカッションと決まったカリキュラムを通して、医療専門職としての視野を広げる取り組みです。今回の障害体験イベントはその「リベラルアーツ」科目として、医療職に求められる「共感力」や「社会理解」を育む目的で企画されました。
10月26日(日)、天満音楽祭の会場でもある扇町ミュージアムキューブにて開催されたこのイベントでは、「階段が壁になる?普通がこんなに難しい体験」をテーマに、ニーブレース(膝の動きを制限する装具)を用いて「足が伸びない・曲がらない」状態を再現。参加者はその状態で階段を昇り降りしながら、片足が使いづらい中でどう体を動かせばよいかを模索しました。
この体験は、普段意識することのない“歩く”という行為の繊細さを再認識させ、日常の「当たり前」が実は身体の協調と努力の上に成り立っていることを体感する機会となりました。
理学療法士と職員が伝える「ともに考える」体験の場
本イベントには、医誠会国際総合病院や関連施設から理学療法士、健康運動指導士、看護師、事務職員らが参加し、体験サポートを担当しました。
3時間の体験会には21名が参加し、立ち上がりテスト・ステップテスト・握力テストによる「体力年齢測定(ロコモチェック)」も実施。参加者は「こんなに動かしづらいとは思わなかった」「段差がこんなに怖いのは初めて」と感想を述べ、理学療法士との対話を通じて、身体の構造や補助の方法を学びました。
介護老人保健施設エスペラル井高野リハビリテーション科所属長宮山理学療法士は次のように話します。
「障害を”体験”することで、支援の在り方が見えてくる。今回は運動の専門家として身体の可動性・柔軟性に着目したが、視覚や聴覚など様々な領域についても考えることができる企画に育てていきたい。当事者抜きに障がいを語るのではなく、いずれは当事者や支援団体の方と一緒に企画できる形にしたい。」
障がいを理解する第一歩として「体験」を軸にしたこの取り組みは、医療職員が専門領域の枠を越えて地域の方々と向き合う貴重な機会となりました。
体験を通じて、支援を受ける立場と支える立場の双方を考えるきっかけを提供しました。
地域と医療をつなぐリベラルアーツ教育の広がり
医療法人医誠会は1979年に大阪市で創立され、ホロニクスグループとして大阪を中心に全国で病院、クリニック、介護老人保健施設などを運営しています。医誠会国際総合病院は46診療科、総職員数1,971名の体制※で、低侵襲治療、先進・先制医療、医療DX、生成AI、本格的タスクシフト・タスクシェア、中央管制システム導入に取り組み、先進的かつ国際標準の総合病院を目指しています。地域医療に貢献するとともに、2024年12月にはJCI認証を取得、国際医療ツーリズムにも挑戦します。また、救急医療では、24時間365日の体制で3次救急を目指して救急医療を提供、必要に応じて各診療科が支援する救急医療体制をとっています。救急車6台(ドクターカー4台・救急車2台)、医師9名、看護師30名、救急救命士25名で、「断らない救急」「待たせない救急」をスローガンに、様々な救急患者さんを受入れ、重症度によって医師・看護師が同乗しお伺いする救急救命士3名体制の医誠会「病院救急」搬送システムで広域医療に取り組んでいます。※ 2025年4月現在
扇町ミュージアムキューブ
大阪市北区・扇町の新しい文化創造拠点となるべく、2023年10月にオープン。最大250席のエンドステージ型の小劇場【CUBE01】、演劇公演や展示会に使える【CUBE02】、50席のミニシアター【扇町キネマ/CUBE03】、その他にも防音室や会議室など、10個の大小さまざまなサイズのCUBEからなるシアターコンプレックスです。
https://omcube.jp/
医療法人医誠会
「キャリア10」プログラムの特徴は、専門知識だけでなく、社会とつながる“人間力”を育む点にあります。
今回の障害体験は、地域イベント「天満音楽祭」という公共の場で実施されたことにも大きな意義があります。多様な来場者が足を止め、医療職員と直接会話しながら体験することで、障がいや身体機能への理解が自然と広がる時間となりました。
今後も医療法人医誠会では、医療現場の外にも学びの場を広げ、社会とともに歩む人材育成に取り組みます。次回の実施情報などは、医誠会公式ウェブサイトおよび公式SNSにてお知らせします。











